毎日新聞 2012年1月31日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120131ddm001040044000c.html
青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、高レベル放射性廃液とガラスを混ぜて溶かす溶融炉に不 具合が生じ、稼働試験の準備作業が中断していることが30日分かった。日本原燃の川井吉彦社長が同日の定例記者会見で明らかにした。試験は相次ぐトラブル で08年12月に中断。種々の対策を講じ、今月24日に試験再開に向けた炉の確認作業に着手したばかりだった。原因不明で復旧のめどは立っていない。国の 核燃料サイクル政策見直しの動きに影響しかねない事態となっている。【山本佳孝】
川井社長によると、4年前にトラブルが起きた「A系」とは別の試験使用歴のない「B系」の溶融炉を使用。24日に放射性物質を含まない試験用の 「模擬廃液」とガラスを混ぜたビーズを炉で溶かし処分容器に流下させる作業を始めたところ、流下速度が徐々に遅くなり、そのままでは炉の出口をふさぐ恐れ が生じた。このため、作業を3回中断して炉にかくはん棒を入れ、回復を試みたが、不具合は解消していない。流下するガラスに含まれるはずのない数ミリ大の 黒い異物が混入していることも判明。いずれも原因は分からない。
08年のトラブルの反省から、同社は茨城県で実物同様の試験炉で実験を繰り返し、炉内の温度計増設など装置や運転方法の改善に腐心。福島第1原発 事故後の安全対策を11年12月、三村申吾青森県知事が了承したことを受け、満を持して試験に臨んだ。一方で、川井社長は同10月、再処理工場を現時点で 閉鎖した場合、これまでの建設費約2・2兆円に加えて解体などに約1・4兆円もの費用がかかるとの試算結果を公表し、埋設処分と比較して「サイクル事業は 環境保全の面からも必要」と述べてきた。
◇相次ぐトラブル
再処理工場では使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出し、再び原発の燃料として使うことを目指す。93年に着工し当初は97年の完工を 目指した。しかし、溶融炉内でガラス溶液の流下を促す金属棒が折れたり、高レベル廃液で作業員が被ばくするなどのトラブルが相次ぎ目標時期は18回も延期 した。日本はウランが乏しく、国の原子力政策大綱でサイクル政策の推進を明記。だが、東京電力福島第1原発事故に加え、再処理した燃料を効率的に利用す る高速増殖原型炉「もんじゅ」もめどが立たない。原子力委員会はサイクル政策の見直しを本格化させている。一方、国内の原発には約1万4000トンの使用 済み核燃料があり、再処理が進まないと行き場を失う。【関東晋慈】
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■ことば
◇核燃料サイクル
原発で使われた使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す再処理をして、再び原発の燃料として使う流れ。再処理後に使えず高い放射能を帯びたものはガラスと混ぜて固め、高レベル廃棄物として地中に処分する。処分先は決まっていない。
毎日新聞 2012年1月31日 東京朝刊
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